簡素でコンパクトなヴォリューム
家は、住まい手のものです。しかしまた、街並みをつくる外観は、地域の人との共有財産でもあります。建物のかたちは、できるだけ簡素に、そしてコンパクトなヴォリュームにまとめること。
簡素につくることは難しい、というと意外に思われるかもしれません。
多くの関係性(人と人・物・光、道路と敷地、隣家と計画建物 等々)が複雑に絡み合った設計条件を解きほぐし、再編成する。その試行錯誤の結果、簡素で美しいかたちを導き出すことができるのです。
家は、住まい手のものです。しかしまた、街並みをつくる外観は、地域の人との共有財産でもあります。建物のかたちは、できるだけ簡素に、そしてコンパクトなヴォリュームにまとめること。
まるで、それぞれの素材が自らの意思でその場所に納まったかのようなディテール。そんな自然で美しく簡素な方法で家をつくりたい、と私たちは考えています。
冬には雪が積もり、厳しい寒さでありながら晴天の多い信州。深い軒の出や大きな窓といった“風土に根差したデザイン”を採り入れることで、簡素でありながら普遍的な住まいをつくります。
敷地にはそれぞれの個性があります。山が見える場所、自然豊かな田園地帯、街中の密集地…。その土地の個性を読み、その特長を生かす。そのために庭の植栽やアプローチの塀などを、家と一体的に計画すること。私たちが「家と庭が寄り添う」ことを大切にして設計をしているのには、そんな理由があります。
まず1時間、その場に立ってみる。周りをスケッチしてみる。朝の光を、雨の音や雪の景色を、隣家の生活を、想像してみる。そうすることで敷地の個性がなんとなく見えてくる。そこから設計が始まるのです。
コンパクトに計画した建物によって敷地には余白が生まれます。その余白をどうデザインするか。“家に寄り添う庭”を上手に配置することで、敷地全体がいきいきとします。
周辺によい影響を与え、美しい風景となるような家を建てたいものです。そのために、建物高さをできるだけ低く抑えたり、道路から距離をとって木や花を植える、といった工夫をするのです。
ソファに座ったとき、キッチンに立ったとき、本を読むとき…。そこから見える光景、背後にあるもの、その場所の明るさや暗さ、感じる陰影、空間の大きさや広がり。さまざまな要素を考慮して居場所をデザインすることが、居心地の良さを生み出します。
新しい家で暮らし始めたときに、窓からどのような風景が見えるでしょうか。青い空や山並み、近い借景、緑の庭、雪化粧の坪庭。私たちは、そんな美しい景色をとらえる窓をつくりたい、と思っています。
自然の力を生かした家は、居心地のいいものです。冬は大きな窓から陽の光をとり入れ、夏は夜風をとり入れる。また、薪ストーブやすだれによってすまいにも季節感をとり入れ楽しむことができます。
居間や食堂にあたる“おおらかなスペース“を成り立たせるためには、それを助ける収納や家事コーナーなどの”機能的なスペース“が必要です。”設計のプロ“である私たちが暮らしをかたちにしていきます。
永く愛着をもってくらしていく、そんな住まいを楽しんでほしいと願っています。だからこそ、“建てた時がもっとも美しく、あとは劣化するだけの家”ではなく、“建てたときからの変化を楽しめる家”にしたい、と私たちは思っています。
手ざわりがよく、足にもやさしい柔らかさをもつ無垢の木。キズやシミも味として楽しみ、愛着を深めることができます。
外部の仕上げや玄関ポーチの床など、木をふんだんにつかうことで、住む人や客人を迎えるあたたかな素材感のアプローチとなります。
永く住み続けられる家をつくるために、ずっと手を入れられる素材と確かな工法を選びます。家も庭も、住む人により育てながら、永い間の変化も楽しみましょう。
ずっと安心に、永く住み続けられる。そんな家をつくり、守り続けること。それが私たちの社会的な責任であると考えています。
安心のためには高い耐震性能は必須です。また、住まい手の健康のためには、温熱環境の整った家が必要です。私たちは科学的な根拠と経験に基づいた高性能な家を設計しています。
自然の恵みを生かした、燃費の良い快適な家をつくります。信州の気候、自然環境を利用する知恵と工夫が必要です。
住む人も、つくる人も、愛着をもってメンテナンスしていくことが必要です。私たちは、ずっと見守る姿勢を大切にしています。定期的にオーナー様へのお伺いをさせて頂きます。